『津堂も密偵や。こっちの動きくらいはわかってるやろうし、その上で待ち構えてるなら丁度ええやないか。やつらももう逃げられんと観念したんや。ここで仲間を疑うことはワシが許さんで!』
まるで、俺達の心を見透かしたかのようは発言に、鬼と美空ちゃんに向けられていた視線が大和さんに向けられた。
「よっしゃ行くで! デートの待ち合わせに遅れる男は嫌われるで! 全軍突撃じゃあっ!」
「なんだいなんだいこのおっさんは! いきなりうるさいね!」
近くで大声をあげられた爛鬼が驚いて耳を塞ぐが、遊鬼はぼんやりと俺の方を見て、近付いて来た。
「あんた、確か葵だったよね? 私は覚えてるよ。やたら強い格闘家みたいな男と一緒にいた、ヒョロっとした坊やだ」
「……そのヒョロっとした坊やになんの用だよ。案内しろって言われてるだろ?」
どういう態度で接すればいいかわからず、ぶっきらぼうな物言いになってしまうけど仕方がない。
「友里……私がしばらく面倒を見てたんだけどね。葵のところに行きたい、葵が好きだってずっと言ってた。私にはわからないけど、あんた、友里に好かれてたんだね。何となく、伝えたくてね」
それだけ言うと、遊鬼は大和さんの前に戻って、線路を歩いて行った。



