~浜瀬組~


「よっしゃ、北軍と合流したんやな? そのまま東に移動や! しらみ潰しにして行くで! 津堂らを逃すんやないで!」


周囲を警戒しながら歩く俺達とは違い、北軍側と南軍側の味方にも指示を飛ばしながら歩く大和さん。


北軍も南軍も、鬼との小規模な戦闘はあるみたいだけど、それも頻発しているわけではない。


昨日の大規模戦闘で失った人員が完全には復活しておらず、想像よりも随分簡単に侵攻出来ている。


「昨日の鬼達が東軍の全戦力だったんですかね? こんなにも簡単に、東軍の奥深くまで侵攻を許すなんて」


「どうだかな。美空ちゃんは何か知らないわけ? 昨日まで東軍として戦ってたわけだろ? だったら、少しくらい内情を知ってるんじゃないの?」


俺の疑問に、宗司が美空ちゃんに尋ねる。


だけど美空ちゃんは困った様子で小さく唸って。


「僕は自由人だからね。東軍のことには別に興味なんてなかったし、僕とまともに話をしてくれる人もいなかったしね。緑川さんだって、なーんか僕を見下してた感じもあるしさ」


「一緒に戦う人はいても、仲間はいなかったって感じか。大変だったんだな、美空ちゃんも」