「なんて言ったか……ほら、絶鬼が乗り物に使ってた鬼。友里だ。あの子は人間の仲間になってたんだろ? それが、津堂に身体をいじくられてあんな化け物になっちまったわけだ」


「何が言いたいのさ爛鬼。私達もあんな化け物になったら、もうひと花咲かせられるってぇのかい? 冗談じゃない。私はこの美貌を失うくらいなら、人間と戦って死ぬ道を選ぶね」


「早合点するんじゃないよ。私が言いたいのは、もしかしたら私達だって人間の仲間になれるかもって言ってるんだよ。無意味に鬼として生きて、人間に殺されるのを待つか、嘘でも人間の仲間になって生きるか、どっちがいい?」


爛鬼の問いに、「本気で言っているのか?」と言わんばかりに顔を歪めて首を傾げた遊鬼。


今まで散々、鬼として人間を食って来たのに、今更人間の仲間になるだなんてと、現実とプライドの間で遊鬼は揺れているようだ。


「それが嫌なら命が尽きるその時まで、私と一緒に熱い時を過ごすかい? 鬼とはいえ、これまで共に過ごした男女なんだ。最期を迎えるまで愛し合うのも一興じゃないかい?」


「よし、人間の仲間になるとしようか。爛鬼のその言葉で決心がついたよ」


間髪入れずに断られた爛鬼は、どんな顔をすれば良いかわからない様子で遊鬼を見詰めることしか出来なかった。