津堂……そして煌我。


俺達の苦悩はこいつらから始まった。


連れ去られた灯と夕蘭。


恐らく津堂の初期の人体実験の被験者となったが、夕蘭は無事だったけど、灯は化け物へと変貌した。


それだけじゃない。


俺に懐いた友里も、必死に生きていた是松も、津堂に肉体改造されて最後は死んだ。


そしてそれを楽しんでいるのが煌我だ。


悲劇の元にして、諸悪の根源。


少なくとも俺にとってはそう断言出来る。


「ほな行こか。もうワシらを止められるやつはおらん。葵くんを、宗司くんを、『運命の少年』の歩みを止めるやつはおらんのや」


歩き始めた大和さんの背中を見ながら、俺も続いて歩き出した。


最初は俺も宗司も、あっという間に殺されたり、震えて武器を振ることもままならなかったり。


仲間に支えられ、歩んで来たからこそ今があるんだ。


「張り切っちゃって。でも、随分良い顔になったよね、葵。初めて会った時とは全然違うよ」


「夕蘭だって、あんなにわがままで失礼だったのに、結構丸くなったよな」


共に歩く仲間がいるから、俺達はさらに先に進むことが出来るんだ。


だから、歩みは止めない。


バベルの塔の頂上に行くその時まで。