「ところで美空ちゃん。津堂に肉体改造されたなら、津堂がどこにいるかわからないの? あいつがいるから人が化け物に変わってしまうことになったんだ。放ってはおけないよな」


津堂と煌我。


この二人のせいで、灯が死ぬことになってしまったと言っても過言ではない。


「……でも、津堂さんに鬼の細胞を入れられたから、私は病気を克服出来たんだよ。居場所は知らない。病院で動けない私に注射して、それっきりでどこかに行ったからね」


そう言われると、美空ちゃんにとっては恩人でもあるわけだ。


どんな意図で美空ちゃんに細胞を注入したのかはわからない。


でも、結果的にそれが美空ちゃんにとっては良い方向に働いたわけで。


「東軍にいる強いやつと言ったら、目立つやつは黒井と津堂と煌我くらいか」


「黒井さんが娘を連れ帰ったって話だけど、黒井蘭子も父親譲りの強さだよ」


「……知ってる」


考えていないわけじゃなかったんだよな。


あの悪魔のような姿の鬼の王・黒井の娘である蘭子が、何も弄られていないとは考えにくかった。


自分の娘には手を出さないという親らしい考えがあるかと思ったけど、戦ってみて、話をしてみてわかったのは、あいつにそんな想いなんて微塵もないだろうということ。


あいつは、蘭子を物としか見ていないように思えた。