東京ルミナスピラー

涙を流しながら、顎でPBSを開いて回復を行った父さん。


その表情はどこか晴れ晴れとしていて、迷いが無くなったような顔になっていた。


「あ……あ。声が出る。何だったんだ今のは……」


慌てる俺を見て、フフッ笑った父さんが口を開いく。


「俺の不甲斐ない姿を見て、恵梨香ちゃんが怒りに来たんだろうな。すまなかった葵。お前には随分酷いことを言ったし、こんなことを言うのは虫が良すぎるけど……またいつか、俺を父さんと呼んでくれたら嬉しい」


バツが悪そうに、照れたようにタバコを取り出して口にくわえ、その先端に火を点けた。


人は変わる……けれど、変わらないものだってある。


父さんの良いところが、子供がいることで無くなってしまったとしたら、それはきっと俺達のせいなんだ。


母さんが言っていた、父さんが変えてはいけなかったものが、俺達を守ろうという一心で変えざるを得なかったなら、父さんがそう思わなくても良いくらいに強くなるしかない。


「一緒にバベルの塔に行こう。そしてこんなくだらない街、全部元に戻してやろうよ。父さん」


微笑んで父さんに突き出した拳。


顔をくしゃくしゃにして、また涙を流しながら父さんは拳を重ねた。


「お前……そういうところは本当に恵梨香ちゃんそっくりだよ」


その言葉は、俺にとっては何よりの褒め言葉だった。