「ふん。なかなかに無様ではないか名鳥。昔のお前なら、無責任に人に希望を押し付けて、それに自分も乗っかるくらい図々しさを見せていたぞ? 今のお前はさしずめ希望の出涸らしといったところだな」
どう声を掛ければ良いかわからない俺の口から飛び出した、思ってもいない言葉。
慌てて辺りを見回すけれど……俺達の他には誰もおらず、俺は思わずトンファーに目を向けた。
「葵……いや、違う。そうか……まさかこんな形でな」
「何がまさかだ。お前に葵を頼んだのに、引き取らなければよかったとはどういう了見だ馬鹿者! 悲しみに潰されるなんて名鳥らしくない。お前はいつだって『死にはしない』と皆を鼓舞していたではないか。命が潰えても、希望まで潰えたわけではない。いつも目の前に、天高くそびえているではないか。飛び切りの希望が」
母さん……。
俺のトンファーに生きる母さんの想いが、俺を通して言葉となっている。
絶望から俺を救ってくれたのが母さんで、今度は父さんまで救ってくれるのだろうか。
「まさか……恵梨香さんか。愛ってやつだな。いつまで経っても息子を想う、母親の愛だ」
結城さんのその言葉は、妙にすんなりと受け入れられた。



