東京ルミナスピラー

「葵、ますます強くなったんじゃないのか? 北軍での戦いが、お前を強くしたんだろうな」


鞘に納められた日本刀を左手に持ち、俺の前までやって来た結城さん。


「どうでしょうか? 少しは強くなったと思いますけど」


「そう構えるなよ。何も葵とやり合おうってわけじゃないんだ。ここで東軍を押さえれば、そのままバベルの塔に向かうことだって出来る。この戦いはそういう重要な戦いになるのは間違いない」


白く聳えるバベルの塔を見上げて、結城さんが呟いた。


今までその実感すら湧かなかったバベルの塔侵攻が、一気に現実味を帯びて来たんだ。






「それはあれかよ? 元『運命の少年』の勘ってやつか? 終わりが近いって何か感じるのかよ」








背後から聞こえた声に振り返ると、そこには吹雪さんを先頭に、善吉医院の面々が。


「拓真。まさかだろ? ただの中年の直感ってやつさ」


そう言って笑って見せた結城さん。


拓真も是松のことから立ち直ったのか、顔から険しさが消えた気がする。


「ダーーーーーーリン! もう! 逢いたかったんだから! 二日も逢わないなんて!」


「愛しの吹雪さん! 僕だって寂しさでこの胸が張り裂けんばかりでしたよ!」