浅草橋駅にほど近い高層ビルの上。


俺と大和さんはそこに移動して、攻めて来ているという東軍を確認することに。


親父さんが言った通り、大量の鬼が東軍から押し寄せているのがわかる。


線路を落としてくれたから、川を渡る速度が遅くなっているのはありがたいけど……それでも既に、数万という大軍勢が西軍の地を踏んでいる。


「気圧されるなよ葵くん。雑兵は物の数やない。ワシらが初めて会ったあの時も鬼の群れと戦ったけど、今の葵くんなら刀のひと振りで十人くらいは殺れるはずや。問題は時々見掛ける喋る鬼と、改造された人間や」


「俺は……ハッキリ言って、集団戦の指揮は出来ません。だから大和さんに任せることになってしまいます」


「ほんまにハッキリ言うたな。でもまあ……腕が鳴るわ。こんな大舞台で出番を回してもらえるなんて思っても見んかったからな」


東軍が来ている……ということは、津堂に改造された人達や、津堂本人も出て来ているのか?


こちらが南北西軍の連合なら、東軍も各地から誘拐した混成軍ということになる。


それにしても気になるのはあの男のことだ。


ルークが落ちてきて以来、目立った動きを見せていない。


俺がずっと眠っていたせいかもしれないけど、動向を一切聞かないのは気になってしまうな。