そうだ、聖戦が終わるまでもう時間がない。


今の西軍には、一騎当千というような強い人はいなくて、やはり頼るなら他軍の人達になってしまう。


「大和さん、北軍と南軍の人達を出来るだけ集めてくれませんか? 西軍の人達にも、東軍が攻めて来てるというのを説明して、同士討ちは避けるようにって……」


「む、無茶苦茶な注文やな! せやけどやるしかないか……」


無理難題を押し付けてるのはわかってる。


今の今まで殺し合っている人達に、協力してくれなんて言いに行くのは随分都合の良いことだってくらい。


「北軍には俺が行こう。拓真達に伝えるくらいならしてやる。他の勢力が協力するかは知らんがな」


親父さんも、ハルベルトを持って壁の穴の方に向かった。


この窮地に協力してくれるのはありがたい。


北軍の方に向かって飛び出した親父さんの背中を見て、俺は少し安堵した。


「ほな、南軍には夕蘭ちゃんが行ってくれるか? 葵くんが行けば話はスムーズかもしれんけど、黒井がいつ不意打ちを掛けてくるかわからんからな。葵くんは西軍に残しておきたい」


「う、うん。わかった。ありったけの人をかき集めて来る。だから皆、死んじゃダメだよ!」