「ここで貴様らを全員殺すのは容易いが、この聖戦が終わるまでは待ってやる。篠田が復活するのは見込めないだろうが、せいぜいお仲間をかき集めて来るがいい」


蘭子の頭に手を置き、壁の穴から外に出ようとした黒井を俺は呼び止めた。


「待てよ! 何が目的だお前は! 西軍に侵攻して、聖戦が終わるまで待ってやる? 何がしたいんだよ! 今すぐやってやるよ! お前を倒して東軍も止めてやる!」


足を止め、そう言った俺を睨み付けるように黒井が振り返った。


「おいガキ。テメェごときが俺を殺れると思うなよ? 目的なんざ決まってんだろ。この街の統一、蹂躙! 強いやつらを片っ端から殺してやる! 何者も俺には敵わねぇ! それを証明してやる!」


わかってはいたけど、ここまで強さに囚われているのかこいつは。


だけど、俺もあんなに威勢のいいことを言っておきながら、飛び掛かれないことが悔しい。


「魔刻に鬼の軍団と戦えとは、随分弱気じゃないか黒井。そんな強がりを言っておきながら、ビビってるんじゃないのか? 負けるかもしれないってな」


親父さんが挑発するようにそう言ったけど、黒井は鼻で笑って見せた。