東京ルミナスピラー

「この均衡が取れとるというのは意外と悪くなくてな。決定的な勝機が見えんから、お互いに手を出せん状態や。つまり、無駄に戦力を減らす必要がないっちゅうこっちゃ」


そう言われたら何となくわかるかな。


睨み合いが続いている状態で、直接的には戦わずに牽制している状態ってことだ。


「ああ、だからそんな状態で私達がどちらかについたら、バランスが崩れるってことね?」


「そういうこっちゃ。ただワシにはわからんかったのは、篠田さんの娘である夕蘭ちゃん。宗司くんの彼女のはずの蘭子ちゃん。ほんでもって、篠田さんにも宗司くんにも対抗出来るしどちらとも仲が良いはずの葵くんの三人が一緒に行動しとるっちゅうことや。どっちの軍勢につくんか、それとも第三勢力となるんか、見極めようと思ってな」


なるほど、そういう理由があったのか。


地面に腰を下ろし、ポケットからタバコを取り出して火を点けた大和さんは、口と鼻から煙を出して俺を見た。


「ところで大和さんはどっちについてるんですか? タケさんか、宗司か」


「ああん? ワシか? ワシは仲間割れには興味はないわい。戦っても強くもなれん、無駄に戦力を減らすだけの戦いに価値なんぞ見い出せんからな。せやから、こうやって他軍に変な茶々入れられんように辺境で一人戦っとったっちゅうわけや」