「ほう。じゃあ、俺とデートをするのも恵まれてるってことになるわけか? 残念だな。わざわざ誘いに来たのによ」
その声に、俺も是松も入り口の方に顔を向ける。
するとそこには、白いタキシードに身を包み、花束を持った拓真が立っていたのだ。
「ど、どうして……こんな時に。いや、見ないで拓真さん!」
元の是松とは違う、異形とも言える姿を晒していた是松が、怯えるように身を小さくして震え始める。
「た、拓真さん……あんなに面倒臭がってたのになんで……」
やっとのことで立ち上がり、そう尋ねると拓真は首を横に振って。
「今まで面倒臭がって動かなかったのは俺の罪だ。俺がもっと早くに美智の悲しみに気付いてやれていたら、違う未来が待っていたかもしれねえ。もっと寄り添ってやれてたら、あの不器用な笑顔をもっと見られたかもしれねぇのにな」
そう言って花束を是松の方に向かって放り投げた。
ゆっくりと弧を描いて宙を舞い、是松の前にそれは落ちた。
「拓真……さん?」
「美智、お前が誰に復讐をしようが、どんなグループを作ろうが俺は止めねぇよ。だけどな、奪われ続けたお前が奪う側に回ったら、その言葉にはなんの意味もなくなるだろ!」



