綺月君のベッドに座ったままの私。


 もう10分以上。

 綺月君はキーボードを弾いて、
 楽譜に書いてを繰り返している。



 寂しい。

 教室で一人ぼっちの時より、
 今の方が寂しい。



 なぜかな?

 好きなのかな?

 私、綺月君のことを……




 でも、絶対に好きにならないもん。

 傷つくのは、目に見えている。

 私は、誰かに好きになってもらえるような
 人間じゃないから。




 自分の部屋に帰りたい。

 でも、曲作りをしている綺月君の
 邪魔はしたくない。


 私はベッドの上で、三角座りをして。

 綺月君の背中を見ないように、
 膝に顔をうずめた。