「あ……あの……」


「今、俺に話しかけんな!!」



 ……
 ……


 へ????

 怒られた????



 言葉で殴られたような、
 キツイ声が飛んできて。


 夢のような甘い空気が、一瞬で
 ピリピリした空気に入れ替わった。



 綺月君は私を見ることもなく、
 キーボードまでダッシュ。

 まるで、私を遮断するように、
 ヘッドフォンをつけた。




 今のキス……
 何だったんだろう……


 遊び?

 それとも……私のことが好き?



 そ……そんなわけない。



 私に背中を向け、
 キーボードを弾く綺月君の姿を見て、
 すぐに分かった。


 あのキスは、
 ラブソングを作るためだったって。


 私への思いなんて、
 1ミリも含んでいないんだって。



 そんなこと、わかっていたことなのに。
 何を期待しちゃったんだろう。



 その気にさせられて……

 目まで、閉じちゃって……



 バカみたい……私……