ぼっちのキミに毒はまり ゾルック 一人目





 お互い、無言。

 でも
 手は握られたまま。


 私の心臓は、過労死寸前。

 私の脳も、溶けだす寸前。


「これって……
 曲作りに……必要ですか……?」


 ありったけの勇気を込め、
 なんとか絞り出てくれた、か細い声。

 私の勇気に応えるように、
 途切れ声が返ってきた。



「ラブソング……
 作んないといけないから……」


「そう……なんだね……」


「頼まれた曲のイメージが、
 吸血鬼の恋で……」


 え?


「月夜に現れた吸血鬼が、
 ゾクゾクする恋に落ちるって設定で……」


「それって……ヴァン様みたい……」


「だからさ……」


 だから……何?


 聞きたいけど、声が出ない。
 だって。

 綺月君が口元を隠すように手を当て、
 うつむいているから。



 言いにくいのかな?
 これ以上、聞かない方が良いのかな?