はっと我に返り、顔を逸らした私。
飛び出しそうなくらい、
バクバクが止まらなくて。
恥ずかしくて。
意味がわからなくて。
顔が、上げられない。
「嫌……だった……?」
え?
「俺に……
キスされたこと……」
ひょえ!!
なんて答えれば、いいの?
「ちょっと来て」
「え……? ど……どこに……?」
「俺の部屋」
ま……待って、待って。
抱きしめられた後だよ。
キスされた後だよ。
ど……ど……
どうしたらいいの……?
って……。
もう、綺月君に。
捕まっちゃっている。
綺月君の手が、私の手首を掴んでいて。
脈の飛び跳ねが、半端ない。
拒否権なし。
でも、
手を振り払う勇気なんて無くて。
私は素直に、
綺月君の後をついて行った。



