ぼっちのキミに毒はまり ゾルック 一人目




 私なんかが
 綺月君に抱きしめられているなんて、
 信じられなくて。


 マネキンのように固まって。
 目をパチパチさせることしかできない私。



「これって……
 罰……ゲーム……?」


「そうだったら……
 心美はこのままでいるのかよ?」



 ひょえ?

 私の脳が……
 許容範囲を超えちゃったよ……


 ぼわわんとして、
 よくわかんなくなってきちゃった。



「罰ゲームなら……
 離れて欲しいです……」


「じゃあ
 罰ゲームじゃないって言ったら?」


 ……?


「俺がこんなことしても……
 いいわけ……?」


 こんなことって?



 強引に肩を引っ張られ。

 よろけた私を、両腕で支えてくれた綺月君。



「あ……ごめんね……綺月君……」


「謝るのは……俺の方……だから……」



 予想外の綺月君の言葉に驚いて、
 瞳を上げる。

 私だけを見つめる、漆黒の瞳と視線が絡んだ。



 目を逸らさなきゃ。
 そう思うのに。

 綺月君の真剣な瞳に吸い込まれ、
 逃れることができない。




「綺月……く……」




 語尾が消されるように、
 強引に塞がれた私の唇。


 自分に起きていることが、
 現実なのか夢なのか。

 私の脳は、判断できない。