綺月くんの真剣な瞳が、
私にまっすぐ向いていて。
瞳を逸らすことさえできない。
私は素直な思いを、言葉に乗せた。
「見たい……です……」
「なんで?」
え? なんでって聞かれた?
わっ、どうしよう。理由だよね?
なんて答えよう。
「えっと……その……」
「見たいって、嘘なわけ?」
「嘘じゃないよ」
本当に思ってるよ。
「俺……心美が見に来るなら……
ステージでピアノを弾いてもいいかなって……
思ったんだけど……」
にゃ……にゃ……にゃんですか??
ステージでピアノを弾くかどうか、
私、次第ってこと?
なぜ? どうして?
あまりにビックリしすぎて、
脳内に猫が、飛び出して来ちゃったよ。
猫が駆けまわるように、
不規則に飛び跳ねる、私の心臓。
落ちつけたくて、胸に手を当てたのに。
予想以上に、私の心臓がドクドクしていて。
恥ずかしさが募って、顔の温度が上昇していく。



