「あ、ごめんね。
綺月君、お腹すいたよね?
私、自分の部屋に……」
「俺が見に来てって……
心美に頼んだら……来てくれる?」
いきなり……何の話?
「何を見るの?」
「俺の……ピアノ演奏……」
ほぇ?
「綺月君……
ピアノの発表会に出るの?」
「発表会って感じじゃねぇけど。
千柳……あ、
俺を車で迎えに来た奴の書道ライブで、
ピアノの生演奏を頼まれて……」
綺月君が、ステージでピアノを弾くのかぁ。
見てみたいな。
凛としていて、カッコいいんだろうな。
でも……
「私は……行かない方が良い気がする……」
「なんでだよ?」
だって……
「私……疫病神だし……」
「は?」
「クラスメイトとか、
学校の人とかも来るでしょ?
私がいると……
空気が悪くなっちゃいそうだし……」
「俺、そんなこと聞いてねぇんだけど」
「え?」
「心美は俺のピアノを見たいか、
見たくねぇのか。
聞きたいのは、それだけなんだけど」



