二人だけのリビングに漂う、気まずい沈黙。
その時、綺月君がいきなり顔を上げ。
弱々しく光る瞳で、
私をまっすぐ見つめてきた。
「心美……ごめんな」
へ? いきなり、何?
私、なんのことを謝られた?
「和の罰ゲーム、止められなくて」
「それなら大丈夫だよ」
私は……だけど……
私の代わりに、
自分から和明君にキスをした天音君。
『僕は平気だよ』って、
私に言ってくれたけど。
心配をかけないように
笑顔を作る天音君が、痛々しかった。
天音君は、いつもそう。
私が傷つく前に、現れて。
身代わりになってくれる。
嬉しいけど。
すっごく感謝しているけれど。
でも……
そんなこと、
望んでないんだけどな。私。
天音君の傷つく姿を見るくらいなら、
自分が痛い思いした方が、
まだマシって思えちゃうから。



