「綺月、払えないよね?」
「……ああ」
「じゃあ、心美ちゃんと遊園地。
行くよね?」
こんな脅され方をされて、
NOなんて言えるわけねえじゃん。
「誘っては……みるけど……」
「お兄さん、あれやって欲しいなぁ」
「何?!」
「観覧車のてっぺんで。
オレンジ色の夕焼けを見ながら。
心美ちゃんに告白!」
ムリ! 100%ムリ!
『さすが千柳様。
夕日が一番きれいな時間を調べて、
当日、綺月様のスマホにお知らせします』
「せつな、そうしてくれる?」
『はい。喜んで』
勝手に喜ぶな!!
「告白のタイミングまで、
お前らに操られるのかよ?」
「成功率をあげるお手伝いを
してあげるんだよ。俺たちは」
頑張れ、頑張れ。と、
千柳に頭を撫でられている俺。
いつもなら
「気安く触んな!」って跳ねのけるけれど。
今の俺は、
脱力した腕に力を籠める気力さえ、
残っていない。



