ぼっちのキミに毒はまり ゾルック 一人目


 
『アニメのDVDボックス 全巻で……』


「それは俺が作った曲の、お礼だろ?」


『そうでした』


「せつな、綺月に教えてあげて」


『千柳様、何をでございますか?』


「綺月と心美ちゃんの親同士を
 くっつけるのにかかった金額」


 そりゃ、千柳たちに協力してって
 頼んだけど。

 別に、金なんてかかってねぇだろ?



『エキストラへの謝礼、ニセ占い師の衣装、
 会場貸し切りなどなど……
 合わせて……587万円になります』


 587万円?

 俺の知らないところで、
 そんな大金が動いていたのかよ?



『占い師は、千柳様が演じましたので。
 割り増し料金となっております』


 そこは親友っつうことで、無料だろが!



「綺月に請求しようかな?
 僕たちが出会った小学生のころまで遡って。
 貢いできた金額、全て」



 う……
 忘れてた……

 千柳の奴、自分の思い通りにならないと、
 心が醜いデビルに変貌するんだった。


 これじゃ、俺の心を鋭い言葉でめった刺しにする
 氷牙を頼った方が、まだマシだったし。