「綺月、わかってる?」
「ん?」
「絶対に心美ちゃんを手に入れたいって、
綺月が言うから。
俺も氷牙も、
犠牲になってあげたんだからね」
あの時、俺が放ったワガママ。
千柳と氷牙に
見捨てられてもしょうがないくらい
最悪なものだったのに……
今も二人は、
俺と繋がっていてくれる。
本当は、すっげー思ってるんだけどな。
千柳と氷牙がいてくれて、
本当にありがたいって。
ハズすぎて言えないかわりに。
昨日とってしまった
意味不明な行動を、千柳に話す。
「俺さ……昨日……
教室で……心美と喋った……」
「二人だけの時?」
「ああ」
「綺月から?」
「まぁ……そうだけど……」
「どうしちゃったのかな?
高校入学してから
ずっと喋りかけられなかったでしょ?」
「俺のこと……
誤解されたく……なかったから…」
和が心美にキスをすることを、
俺も期待してるなんて
思われたくなかったし。
絶対に傷ついている心美のこと、
放っておけなくて……



