ぼっちのキミに毒はまり ゾルック 一人目




「千柳の金銭感覚。
 マジ……ムカつく……」


「綺月、酷いじゃん。
 子供の頃から、
 どれだけ綺月に貢いでると思ってるの?」


「人聞きの悪いこと、言うな」


「アニメのDVDボックス。
 全巻揃えてあげたのに……」



 氷牙と二人で買ってくれたんだろ?

 それにあのDVDは、
 俺が作った曲と引き換えだったじゃん。



「あの子じゃない?心美ちゃん」


 え? 心美?


 名前を聞くだけで反応する俺は、
 どんだけ心美に惚れてんだ!って
 感じだけど……



 って……バカ千柳!
 心美に手なんか振るなよな!

 心美が、俺に気づいたじゃねぇか。



「あ、俺にペコってしてくれた。
 知らないお兄さんなのに。
 優しいな、心美ちゃんは」


 千柳も、心美に微笑むな!

 オマエの笑顔は、
 たいていの女を落とす魔力があるんだから。




「心美ちゃんの隣にいるのが、例の天音君?」


「ああ」


「一見、地味そうなのに。
 内に魅力を隠してる男の子って。
 俺、好きだなぁ」

 

 一目見ただけの千柳が、
 天音の魅力に気づくとは。
 
 千柳の第六感みたいなものに
 触れたんだろうな。


 俺が天音に負けているみたいで、
 なんか……
 悔しくてたまんない……