「和、ごめん。また明日な」
俺は和と別れ、
高級車の助手席に、無言で乗り込んだ。
「もう。俺のこと、待たせすぎ」
笑顔で声を弾ませ、
運転席に座った千柳に
「彼女づら、すんな」
迷惑声で突き放したけれど
「綺月って。心美ちゃんじゃなくて、
俺に彼女になって欲しいの?」
返ってきたのは、鬱陶しいニヤニヤ声。
「千柳、ウザいこと言ってんじゃねぇよ」
「怒った綺月って、かわいいよね」
俺のわめきを、笑顔でスルーするこの男。
京見 千柳(きょうみ せんりゅう)。
俺より、3歳年上の20歳。
オルゴールみたいな癒し声で。
瞳がなくなるほど、ニコって微笑んで。
そりゃ、女が放っておかないよな。
この、魅惑的な色男のことをさ。
俺らの関係?
ま、子供の頃からの腐れ縁っていうか。
仕事仲間って言うか。
こき使われているっていうか。
8万文字あっても、説明しきれねぇな。
千柳と俺の過去、もろもろは。



