心美の近くにいると、 
 俺の理性が簡単に吹っ飛ぶ。


 だから、高校で同じクラスになっても
 ずっと、心美のことを避けてきたのに。


 今日は、自分が仕掛けたハニートラップに、
 自爆してばっかり。



 放課後の教室でも。
 今、この部屋でも。


 自分を見失いそうになって。
 冷静になって。
 また、暴走しそうになっての繰り返し。



「綺月君……お邪魔しました……」


「……おう」


「おやすみなさい……」


「……ああ」



 挨拶すらまともにできない
 情けない俺。


 心美は俺の部屋から、出て行った。