「オマエの部屋、テレビねぇんだろ?
毎週リビングで見てるって、
広美さん言ってたし」
お母さん。
綺月君に、
そんなこと言わなくていいのに。
「でも……」
「立花はさ、
父さんたちがリビングでイチャついてるのを、
邪魔したいわけ?」
「そ……そんなんじゃ……」
「顔、真っ赤。
変な事、想像した?」
「し……し……してないよ」
「俺の部屋、行くぞ」
「でも……」
「早くしろよ……心美……」
こ……こ……ここみ?
今、綺月君。
私のこと、名前で呼んだ??!!
さっきまでの生意気な口調が一変。
弱々しい声で紡がれた、私の名前。
不意打ちすぎて
私の心臓が、わかりやすく飛び跳ねた。
そして、
判断力を壊滅的に失った脳に従い
私は綺月君の後に、ついて行った。



