恥ずかしそうに私から視線を外す綺月君に、
私の心がざわつき出して。
時計の針が、
9時50分を回っていることに気づいて。
さらに、心臓が飛び跳ねだして。
いつの間にか、思い出してしまった。
時計を見つめ、綺月君にドキドキしていた、
自分のことを。
「じゃあ、綺月君。
ヴァン様を、お願いします」
はさみとヴァン様を渡して。
綺月君が部屋から出て行くように、
促したつもりだったのに。
「俺との約束は?」
綺月君の低い声に、
脈までもが、激しく駆けだす。
「や……約束って……」
「俺の部屋に来いって言ったよな?」
ひょえ!!
あれ、本気だったの?
冗談じゃなかったの??
「綺月君の部屋で……
何をするの……?」
お試し同居初日の記念に、
お菓子を囲んでパジャマパーティー!!
なんて……
乙女チックなことは、しないよね?
まさか……襲われる??



