ぼっちのキミに毒はまり ゾルック 一人目



 自分の罰当たりな行動を、懺悔したい。


 十字架のネックレスを握りしめたくて、
 宝箱を開けようとしたけれど

 綺月君の声が、私の手を止めた。

 


「ビックリさせんなよ。
 オマエが叫ぶから、
 何かあったのかって心配したし」


「だって……ヴァン様がぁ……
 ヴァン様の髪がぁ……」


「ヴァン様、ヴァン様、
 うるせーんだよ」


「だって……
 宝物なんだもん……」


 
 こんなことで涙が出る私って。

 幼稚園児ですか?って
 情けなくなっちゃう。



「貸して」


「え?」


「だから、ヴァン様。俺に貸せって」


「綺月君が……
 ヴァン様って呼んだ……」


「そんなとこ、突っ込むな」


「だって……」


「涙、どこ行った?
 ウソ泣きか?」


「悲しいのは、事実だよ……」

 私の宝物だから……




「俺が、切ってやる」


 もしかして……綺月君……


「ヴァン様の体を、切り刻むつもり?」



 そんなことしたら……
 十字架が手放せない生活を、強いられるよ!

 ヴァン様、執念深いから。



「バーカ」

 
 ほぇ?


「吸血鬼の髪を、切ってやるって言ってんの。
 それなりに、見えるように」


 口調は強い。

 威圧的。

 ちょっと怖い。


 でも……何かが優しく感じる。