悪そうに微笑むドラキュラの顔。
キスできそうなくらい近づけ……
「ひゃっ!!」
あることに気がつき、
慌てて、フィギアを机に置いた。
この……ドラキュラさん……
綺月君に……似ているかも……
かもじゃない。
魔力を秘めているような、漆黒の瞳とか。
すっと通った、鼻筋とか。
笑うと光る、八重歯とか。
綺月君の波打つ髪は、
腰まで長くはないけれど
肩につかないくらいに切っちゃえば、
ドラキュラ綺月君だよ!!!
無意識に手にしたハサミ。
操られているように、
フィギュアの髪の毛に近づけた時
トントン。
ドアをノックされ
飛び跳ねるほど、驚いて……
――5秒後
「きゃぁぁぁ!!」
声を張り上げてしまった。



