「だから、心美に触んな!」
その時、
千柳さんがクスクス笑いながら、
私にだけ聞こえる声を発した。
「心美ちゃん、耐えてね」
「え?」
「俺ね、
嫉妬に狂ったヴァンパイアの曲、
綺月に作らせようと企んでるから」
これって……
火に油を注いで、
素晴らしい曲を生み出させる作戦?
できれば私を、
巻き込まないでください。
私にウインクをした千柳さんは
「雪那のところに行ってくるね」と、
リビングから出て行ったけれど。
綺月君のイライラは、
まだ収まりきっていないみたい。
この後。
綺月君と天音君に挟まれた状態のまま、
ヴァン様のアニメを観て。
綺月君に手を、強引に引っ張られ。
私は、綺月君のお部屋に連れてこられた。



