2か月前。

 綺月君が、私だけを客席に座らせて
 ゾルック復帰ライブをした次の日。


 綺月君は、
 天音君に『千柳さんの家に住んで』と、
 お願いする日々が始まった。



 天音君は、頑なに拒否。
 
 目立つ人生は送りたくない!の
 一点張り。


 でも、最後は天音君が折れた。




 学校では席に座っているだけで、
 好奇な目が、
 天音君に四方八方から突き刺さって。


 尾ひれがついた噂も、飛び回っていて。
 

 天音君は、
 そんな学校から、逃げたかったんだと思う。




 でも一番の理由は、多分私。


 クラスメイトに拒否られながら、
 授業を受ける私を助けるため。


 私が綺月君と、
 一緒に住めるようにするため。


 転校して、千柳さんの家に住むことを
 天音君は決断してくれたんだと思う。




 まだ天音君は、アイドルになることを
 拒否し続けているけれど。

 放課後には、綺月君と一緒に、
 歌やダンスのレッスンを受けている。