「食費も学費も一切いらない。
でも一つだけ、条件があるんだ」
「千柳、なんだよ、条件って」
「天音君も、俺の家に一緒に住むこと」
「なんで、天音?」
「俺ね、どうしても天音君を
ゾルックに入れたいの」
千柳さん、待って。待って。
天音君を、アイドルとして
ステージに立たせるつもり?
「この前、ニセ占い師で勧誘したけど。
『興味ありません』って、
きっぱり断られちゃって」
テヘっと舌を出した千柳さんに、
天音君のことを
諦めてもらわなくちゃ。
「天音君……
目立つのが嫌いだから……」
だからこれ以上、
勧誘しないで上げてください。
そう付け加えようと思ったけれど、
綺月君の声にかき消された。
「そう言えば、
天音に頼まれてたんだっけ。
『僕の前に二度と現れないで』って、
千柳に伝えてくれって」
「天音君も俺とアイドルやりたいくせに、
素直じゃないんだから。
天邪鬼なところもかわいいよね~」
千柳さんは、
フフフと微笑んでいるけれど。
アイドルとしてステージに立つこと。
天音君は、
心から拒否していると思いますよ。



