ぼっちのキミに毒はまり ゾルック 一人目




 事務所に戻らなきゃと、
 慌てて走り去る蓮見さんの背中を
 笑顔で見送っていると、

 千柳さんが私の前に立った。




「心美ちゃん、
 俺のお願い聞いてくれない?」


 いきなり両肩に手を置かれたけれど

 千柳さんのお願いって……?



「俺の家で、一緒に暮らそう」


「はぁぁぁぁぁ???」



 叫びたいほど驚いた私。

 でも、大声を張り上げたのは
 綺月君の方で。


「今、心美に、なんて言った?」

 と、私の肩に置かれた千柳さんの手を
 振り払った。




「だから、
 俺の家で楽しく暮らそうって」


「人の女、口説いてんじゃねぇよ」


「綺月、そんな怖い顔しないの。
 イケメンが台無しだよ」


 怒る綺月君に、アハハって。

 千柳さんの心、
 どれだけ頑丈にできているんですか?




「勘違いしないで。
 綺月も一緒に暮らすんだからね」


 千柳さんの言葉に、
 私も綺月君も目が点。



「だって綺月、今の家から平日に
 レッスン通うのなんてムリでしょ?
 毎週土曜日は、ライブもあるし」


「そうだけど……」


「だから、心美ちゃんと綺月も、
 俺の家に住めばいいよ」


 綺月君と同じお家に住むの?

 

「俺が理事長をやっている高校に、
 転校してもらうし」


 千柳さんって、
 高校の理事長もしているの?


 私、学校ではいじめられてるし。

 転校させてもらえるのは嬉しいけど。


 天音君を残して、
 転校なんてできないよ。