「ノートにメロディを書き込んだら、
すぐに戻ってくるから。ごめんな」
優しい言葉を残して、
ステージ裏に消えていった綺月君。
10分ほどたって、
申し訳なさそうに戻ってきた。
その後ろには、
大人オーラで微笑む、千柳さんと。
あきれ顔の蓮見さんも一緒。
「綺月。こんなところに置き去りにされた
心美ちゃんに、言うことがあるよね?」
ひゃっ! 蓮見さん、怖っ!
マジギレ中?
さっきまで、マリア様と間違うくらい、
笑顔が優しかったの蓮見さんなのに。
今は、般若みたいに吊り上がった目で、
綺月君を睨んでいる。
「心美……ごめん……」
「いいよ、全然気にしてないから。
曲が浮かぶと
何も見えなくなっちゃうところ、
綺月君の良いとこだと思うし」
綺月君に傷ついて欲しくなくて。
ニコって笑ってみた。
その瞬間、柔らかい温もりに
上半身が包まれて……
洗練された匂いが、
私の鼻をかすめて……
何? この状態は?



