椅子に座る私の前に来た、綺月君。
飛び出しそうな心臓を押さえ、
固まることしかできない私。
その時。
ヘッドマイクの先端を
手のひらで包んだ綺月君が、
私の耳元に顔を近づけた。
「アイドルやめたの……
心美のせいだからな……」
「え?」
「今、ステージに立ってるのも、
心美のせい」
「私のせいって……」
どういうこと……?
イジワルそうに微笑んで、
ステージの戻っていった綺月君。
私の頭の中は、
整理が不可能なほどぐちゃぐちゃで。
3人が歌いだしても。
うつむくことしかできなくて。
うちわを一回も振ることなく、
いつの間にか曲が終わってしまった。



