「氷牙ってさ。
バイクの運転はプロ級なのに、
車の運転だけはダメでさ」
なんか、意外。
「運転中は、氷牙に話しかけるなよ。
電柱に突っ込まれても困るから」
「……うん」
こくんこくんと頷くたびに、
積もっていくドキドキ。
スリリングな運転のせいじゃなくて。
穏やかに微笑む綺月君が、
私を見つめているからで……
は~~。
綺月君のこと
大嫌いになるって決めたのに。
綺月君の魅力に
ドキドキさせられちゃうよ。
私なんて、
好きになってもらえる可能性
0%なのに……
勝手に落ち込んで。
体中から、
濁ったため息を吐きだした時。
左手に感じた温もり。
恐る恐る、視線をスライドさせ。
ぴょこん。
私の肩が、
わかりやすいくらい飛び跳ねた。
な……な……な……何この状態!!
私の左手の上に、
綺月君の右手が、重ねられてるよぉ。



