「心美、どうした?」
オロオロとした綺月君の弱々しい瞳と
視線が絡んで。
余計に、心臓が踏みつけらえたように痛む。
「ハァ……もう……私に……ハァ……
か……関わらないで……」
「心美、とりあえず落ち着けよ。
ゆっくり息吐いて」
「息の……吐き方……わからない……」
その時、ベッドに座る私を、
綺月君が抱きしめた。
綿菓子にくるまれているみたいに、
優しく、ふんわりと。
そして私の耳元に、甘い声を落とした。
「俺の呼吸、わかる?」
「……うん」
私の頬に押しあてられている
綺月君の胸。
綺月君の呼吸と連動して、
上下するのがわかるから。
「俺に合わせて、息吐けばいいから」
綺月君はなんで、
私のことを心配してくれるの?
なんで、こんなに優しく
抱きしめてくれるの?



