ベッドに座ったまま、
 心臓を押さえる私の耳に。


「俺……だけど……」


 突然、カーテンの向こうから、
 自信なさげな声が聞こえてきた。




 綺月君。
 なんで来ちゃうかな?

 涙交じりの嗚咽が、止まらないのに。




 綺月君に返事をする余裕なんてなくて。

 涙をすすりながら、
 なんとか息をするので精いっぱい。



「心美……大丈夫か?」



 お願い。
 私のことなんて放っておいて。

 ぐちゃぐちゃな泣き顔、
 見られたくないの。



 そんな私の心の声なんて、
 綺月君に届くはずもなく。


「入るからな」


 そう言って、カーテンを開け。

 綺月君が入ってきた。