「天音ってさ……
 わりと、良い奴だな」


「綺月君、キモイこと言わないで」


「それに俺。天音の初恋は、
 普通だって思ってるから」


「え?」


「天音の好きになった相手が、
 男だったってだけだろ?」


「そうだけど……」


「俺は心美が男でも、好きになる自信あるし」



 俺の言葉を聞いて、天音が固まった。


 目を見開いたまま。
 口も、開けっ放しのまま。



 つうか。
 無心状態、長くない?



「おい……天音?」



「アハハ。綺月君、なにそれ」


 今度は、壊れたロボットみたいに
 お腹を抱えて、
 天音は笑い出したけど……


 大丈夫かよ?
 笑いすぎて、涙が出てるじゃん。




「何がおかしいわけ?」


「綺月君が、どや顔で変なこと言うから。
 本当、笑い止まんない」



 天音の奴、まだ笑ってるし。

 
 笑いすぎて苦しいんじゃねぇの?

 目尻にたまった涙、拭けよ。



 でも、なんか嬉しいかも。

 天音が俺に
 心を開いてくれたみたいでさ。