女の子には、ピクリとも笑わない綺月君。
 
 
 見つめられたら溶けてしまいそうなほど、
 力強い瞳とか。


 惑わされそうなほど、色っぽく波打つ、
 長めの黒髪とか。


 心を許した男の子たちにしか見せない、
 八重歯をちらつかせた笑顔とか。


 女の子たちがキャーキャー言うのも、
 わかるなぁ。



 でも、私とは別世界の人間。
 

 同じ教室で、同じ空気を吸っていることでさえ、
 私に許されていない気がする。



 女子から処刑されないように、
 私は綺月君に関わらない。


 それに綺月君も、
 私のことが大嫌いみたいだし。