俺が中3の春。
『綺月には、ヴァンパイア的魅力を
宿して欲しいから』って、
千柳と氷牙に無理やり連れて行かれた
アニメイベントで。
童話の赤ずきんかって感じの
真っ赤な頭巾を頭までかぶり。
天使みたいに真っ白なワンピ―スを着て。
外国人に囲まれ、アタフタしていた心美が、
俺の目に入った。
英語で『ヴァン』のカッコよさを
聞かれていて。
心美が片言の英語で説明するも。
外人さん達、頭の上にハテナだらけ。
なんだその、意味不明すぎる英語は!
身振り手振り、大きすぎ。
必死だけど、全然伝わってねぇし。
テンパりながら、
めちゃくちゃな英語を口にする心美に、
笑っちゃったっけ。
『俺が通訳してやるよ』
そう言った俺に、『迷惑じゃ……』って
弱々しい声を出した割に。
だんだん、心美の説明がヒートアップ。
マシンガントークで、
ヴァンのカッコよさを、俺に力説。
長すぎ。熱、入りすぎ。
通訳するの、俺なんだけど。
めんどくせーって思いより。
かわいい奴って思いの方が、
圧倒的に上で。
不思議な感覚に包まれていた俺に、
心美が微笑んだ。
『ヴァン様に、似てますね』って。
体中の血が、沸騰するかと思った。
ドキドキとゾクゾクが、
いっぺんに襲ってきて。
心臓が持ちこたえられなくて、
倒れるんじゃないかとさえ思った。



