「心美ちゃん、どうしたの?」
「え?」
「困ったことがあるんじゃないの?
私、相談にのるよ」
保健室の先生並みの、癒し声。
優しくて。柔らかくて。
聞き惚れてしまいそうなほど。
でも、包まれた私の手は、
どんどん冷たくなっていく。
「心美ちゃんのこと。
私、心配なんだよ」
完璧な笑顔で、
私の手を包んでくれているのは、
明日華さん。
クラスメイトも
「明日華って、優しいね」
「あいつ、顔だけじゃなくて
性格まで良いよな」
と、ざわついている。
でも私は、
明日華さんの笑顔が、怖い。
早くこの手を、離して欲しい。
過呼吸並みに荒れていた呼吸も、
だんだん静まって。
脳も、冷静さを取り戻し。
私は明日華さんから手を引っこ抜き。
誰にも見られないように、
カバンで机の上を隠そうとしたのに。
「何……これ……」
一番隠したかった人に、
机の文字を見られてしまった。



