私は筆箱からから、
 黒のマジックを取りだし。

 必死に黒く塗りつぶした。




「立花、何やってんだよ?」


「悪霊にとりつかれてんじゃね?」


「アハハ。誰か、除霊してあげたら」



 バカにされた声。


 悔しい。苦しい。
 本当にヤダ。

 でも、絶対にこの文字は消さなきゃ!




 机の上に滴り落ちる、涙。


 みんなの前で、絶対に 
 泣きたくないって思っていたのに。


 止まってとお願いしても、
 ひっきりなしに涙が溢れてくる。




 ダメだ……

 どんなにマジックで塗りつぶしても
 机の文字は、読めてしまう。


 
 マジックがかすれてきた。

 消せないよう……



 もう、何色のマジックでもいい。

 机中を塗りつぶして、
 文字を消さなきゃ!!




 そう思って、
 筆箱を取ろうとしたのに。


 焦りすぎて。
 掴みそこね。

 ペンや消しゴムが、床に散らばった。



 拾おうとしたその時。

 いきなり私の右手が、
 誰かの両手で包まれた。