「ちょろいね。心美ちゃんって」
「明日華、良かったな。
今から綺月君とデートでしょ?」
「教室の掃除なんて、してる場合じゃないよ。
綺月が来る前に、
自分の部屋の掃除しなきゃいけないから」
「綺月君と部屋で二人って。何するわけ?」
「何もしないよぉ~」
「明日華、怪しすぎ~」
「だから、何にもないってばぁ」
ちょろいって……
言われた……
喜んで……
バカみたい……
それに。
綺月君と明日華さん、
付き合っているんだね。
綺月君から、告白したのかな?
きっとそうだよね?
私のせいで、
明日華さんへの思いを
伝えられなかったみたいだから。
雑巾で絞られるように。
ぎゅーぎゅー、ぎゅーぎゅー、
心が痛め付けられて。
涙腺が緩みそうになるのを、
手のひらをつねって、痛みでごまかす。
教室に誰もいなくなるまで待って。
私は、ほうき掛けを始めた。



