――放課後。
「今からどこ行く?」
クラスメイトの
はしゃぎ声が飛び交う教室から逃げたくて、
急いでカバンに教科書を詰めていた時。
「心美ちゃん」
好意的な声が、耳に飛び込んできた。
顔を上げて。
身構える。
だって、私の前に立つ4人の中に、
明日華さんがいたから。
「心美ちゃん、お願い!!」
「私たちが、掃除当番なんだけど。
今から、用事があって」
「代わりに掃除、
お願いできないかな?」
明日華さんも、必死に
顔の前で手を合わせている。
ボッチで便利屋の私。
頼まれごとの時しか、
友達扱いされない。
そのことが、
以前はすっごく嫌だったのに。
不思議。
今は、なぜか嬉しい。
久々だからかな?
友達っぽく、名前を呼ばれたことも。
クラスメイトが、私を頼ってくれることも。
「掃除、いいよ」
「ありがとう、心美ちゃん」
とびきり笑顔の明日華さんに、
手まで握られちゃった。
じんわり温かくて。
私の心まで、ほわわんと温められる。
「よろしくね」
「心美ちゃん、バイバイ」
4人に手を振られ。
私も控えめに、手を振り返した。
それなのに……
教室を出て行く4人の会話で、
温まった心が、一瞬で凍り付いた。



