瞼を思いっきり閉じ。

 下を向き。

 顔を守るように、
 両腕で自分の顔を覆った私。




「バーカ」


 ほぇ?


「立花なんて襲わねぇよ」

 


 そ……そうだよね?


 わ……わかっているよ。

 綺月君が、
 私なんて相手にするわけないって。




 わかっていたけど……
 こんなことされたら……

 勘違いして。
 ドキドキしちゃうに決まってるじゃん……




「今夜9時50分、俺の部屋な」


 私から去って行く綺月君にホッとして。


「はい……」


 何も考えず、
 口から返事が漏れちゃったけれど。



 遠のいていく足音に心を撫でおろし。

 まだ解読できていない暗号を、
 頭の中で分解する。




 今夜。

 9時50分。

 俺の部屋な。


 ……

 ……

 ふぇぇぇぇぇ???


 それって……
 どういう意味ですか????