「明日華、席に戻れ!」


「やだ」


「はぁ?」


「綺月がOKしてくれるなら、
 自分の席に行っても良いよ」


「何をだよ?」


「今日の放課後、
 二人だけでカラオケ行こ」



 ねっ。と、笑った明日華。

 雑誌の1ページかって程、
 モデル並みのパーフェクトスマイル。



 ……
 ……

 キモっ!!

 

 男を落とす方法を、
 雑誌で読み漁っているかのような
 作り笑顔に。

 俺の毛穴から、拒絶汗が噴き出るほど。




「カラオケなんて、行かねぇし」

 
 明日華と狭い部屋に二人?

 想像しただけで、鳥肌がブワだし。

 

「行こうよ!」


「行かねぇ」


 心美に変な誤解、されたくないから……

 
 
 
「綺月の歌、聴きたいもん!」


「のど痛いから、パス」


「普通に声、出てるじゃん」


「女と二人とか、ありえねぇし」


「もしかして、私のこと。
 異性として意識してる?」


 してねぇ。


 100%

 いや……

 10000%してねぇ。 


 俺は心美以外の女に、
 心を奪われたことなんて、ないんだよ。