「あっそ」
「きっと明日華さんといる方が……
いい曲も浮かぶと思うし……」
「そうかもな」
顔じゅうに怒りを込め、
心美を睨みつけた俺に。
「だって私……
嫌われ者の……ボッチだもん……」
心美の、途切れ途切れの声が届いて、
ハッと我に返った。
俺は心美に
何がしたいわけ?
好きになって
もらいたいんじゃねぇの?
冷静な自分が、
怒りの隙間から顔を出す。
俯いている心美が今、
どんな顔をしてるかなんてわかんない。
だけど、腕が震えていて。
肩が、ヒックヒックと飛び跳ねている。
『泣いてるのかよ?』
俺が気づいた時には、
心美の足元のコンクリートの色が、
涙で変わっていて。
怒りが薄まるとともに、
後悔が、俺の心に流れ込んできた。
「仮カノ役……
もう終わりに……してください……」
肩を震わせ、
涙声をこぼした心美。
――謝らなきゃ。
そう思った時には、もう心美は、
俺の前から走り去っていた。



